阿部流・世論調整術

<佐藤さん>先生の行った改革により不利益を被る人間からの反発はさぞかし大きかった事と思います。また、行政内部とは別に市民サービスの中でも削減をされた施策があったかと思いますが、世論を含め、そうした反発を収める為に、先生が取られた手法とかはありますか?

<阿部先生>行政と市民で痛みを分かち合うような手法というか、公務員に我慢してもらうのと同時に、市民にも我慢してもらう、その両方を同時にやるよう心掛けました。 行財政改革に取り組む中で、市民サービスにおいても、必要不可欠なサービスの範疇ではなく、プラスアルファみたいなサービスの部分については、市民にも我慢をして頂く。
例えば、川崎ではバスの運賃を70歳以上全員無料という事を行っていました。しかし、JRに乗れば12歳以上であればみんな同じ運賃が掛かる訳ですから、高齢者の為のサービスとは言え、まるまる無料にする必要はないと考え、見直す事にしました。

それから、川崎では「敬老祝金」として、長年に渡り、70歳以上になると一律3000円を封筒に入れて支給していましたが、私が市長になった最初の年に、千葉の方から「市長への手紙」というものが届き、「川崎市は封筒に川崎市長と書いて、現金を70歳以上の市民に配っている。市長が税金を使って選挙運動をしている」と指摘を受けた事がありました。これについては、正直な所、私も把握をしておらず、翌年から見直す事にしました。その代わりに、77歳、88歳、それから99歳以上の方に、川崎市で作られたお菓子や地元の特産物等を、カタログギフトのようにリストに纏めて、その中から選んで頂くといった形で、川崎の産業振興と絡めて「buyかわさき運動」という企画を考え、今現在、88歳から実行しています。
そうした具合に、公務員の給料をカットする時は、「市民にもこんなに我慢して頂いている時に、あなた方公務員が、高度成長期と同じような給料をもらっていて良いのだろうか。」といった具合に特殊勤務手当等をどんどん見直し、また、市民に対しては、公務員の数や給料を減らす等の具体的な改革を示しながら、「公務員も痛みを分かち合っているのだから、市民の皆さんも我慢して下さい。」といった具合に、世論等を纏めて来ました。

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